十勝には蕎麦やサツマイモやフキノトウ、大豆を使用した、地域の特色を楽しむ焼酎が多く製造されています。中でも「さほろ酒造」は全身の会社から数えると30年以上、そば処・新得町で焼酎をつくり続ける焼酎蔵です。今回は、十勝で唯一の焼酎蔵である「さほろ酒造」の仲鉢さんにお話を伺っています。
さほろ酒造
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さほろ酒造の誕生
さほろ酒造の誕生 さほろ酒造は、もともとは第三セクターとしてできた酒蔵です。宮崎の大手酒造メーカーさんの雲海酒造になって、その後2011年にそこで働いていた数人で再スタートしました。そばを中心に本格焼酎(単式蒸留焼酎)という、米なら米、蕎麦なら蕎麦の風味がよく出る製造方法を行っています。1番に北海道の人達に飲んでもらえるよう北海道の人達向けの風味に仕上げています。
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地元産の蕎麦を使うからこそ本格焼酎
地元産の蕎麦を使うからこそ本格焼酎 量販店でよく見る4ℓのペットボトルに入った焼酎がありますよね、これは焼酎甲類(連続式蒸留焼酎)といいますが、様々なものと割って飲めますし、とても飲みやすいと思います。さほろ酒造の製造方法は、本格焼酎(単式蒸留焼酎)といって、蒸留の工程を「1回だけ行う」ので、原料の風味・香り・美味しさが分かりやすいのです。焼酎甲類ですと蒸溜を何度も繰り返すため、十勝産・新得町産の原料の意味がなくなってしまう。だから、「本格焼酎」へのこだわりがあります。
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地元産の素材でお酒をつくりたい
地元産の素材でお酒をつくりたい さほろ酒造がある新得町は、国内有数のそば処です。昼夜の寒暖差により、とても品質の良いそばが採れます。過去の会社では収益を考えると、なかなか地元のそばを原料にできなかったのですが、私たちはそれでは新得で酒造りをする意味がないと思い、主原料は地元産のそばを使っています。麹の原料まで地元のそばにこだわることはなかなかできませんが、それでも北海道産、国産の原料で麹を作っています。
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おすすめの飲み方
おすすめの飲み方 そば焼酎は何と言っても香りが甘く上品で、お湯割りにして飲むことで、その良さが一層引き立ちます。そばの麺を茹でたときにとれる「そば湯」で5:5で割るのが、そば焼酎の究極の飲み方だと思っています。
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水に恵まれた最高の立地
水に恵まれた最高の立地 ここはいい焼酎造りに欠かせない水にも大変恵まれています。新得町の中に大雪山国立公園があり、そこから流れ出る伏流水を利用しています。立地的には狩勝峠の3合目という、高いところに酒蔵があるので、くみ上げるのは大変ですが、ミネラル分を多く含み、焼酎造りに適した最高の水質です。
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問屋を持たない、想いを伝える営業方法
問屋を持たない、想いを伝える営業方法 また、うちの場合は販売方法が特徴的です。通常は酒卸店を通して量販店や酒屋さんに流通しますが、さほろ酒造の営業方法は直接酒屋さんや飲食店に渡ります。メリットとして、我々作り手の意向とか情熱とか、ここで造った焼酎について直接伝えることができるということです。そういった酒屋さんなり飲食店はさらにお客さんに伝えていただける、いうなれば個人のファンをコツコツと増やしていくというやり方です。とても手間暇がかかる売り方ですが、私たちのこと、さほろ酒造のことを十分理解したうえで飲んでいただくことで、息の長いお付き合いができると信じているからです。
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観光への波及や、SNSでのファンとのつながり
観光への波及や、SNSでのファンとのつながり 焼酎を作るためのいい場所を探して(立地は狩勝峠の3合目)蔵が建ったわけですから、なかなか観光に結びつけていくっていうのが、すごく難しくて。 ただ、特に町内のイベント、それから帯広では十勝マルシェとか上士幌のバルーンフェスティバルで直接お客さんに試飲していただいて、この焼酎は何だというところを熱く語って説明する、そんなやり方をしています。あとは、「発信していく」っていうのが僕らにできる唯一の手段なので、SNSを活用しています。実は、コロナ禍に行ったクラウドファンディングでは、100万円近くまでご支援いただいて商品をつくったことがありました。SNSでいつもいいねをしてくれてる人が支援してくださったという繋がりもあり、この手段も悪くはなかったんだなと思いました。
さほろ酒造株式会社 仲鉢孝雄さん